hiro_ame’s blog

美術マニアで科学と宗教を学ぶのが大好きな絵描き。

ナポレオンの肖像画?

いまではスマホですぐに高画質の写真が

簡単に撮影できるような時代になりました

 

でも写真が登場する前までは中世ヨーロッパなどでは

画像記録を残すのは画家の仕事です

 

今で言う写真館に行って誕生日や七五三などの記念写真をとる行為に代わるものが

当時では「肖像画」と呼ばれるものです

しかも、肖像画を依頼できるのは貴族やお金持ちの人たちのみ

だから、貴族お抱えの画家がいたのです

 

宮廷画家はその最高峰です

当時の王族の肖像画を描いていました



ジャック=ルイ・ダヴィッド作

「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト

 

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一度はどこかで見たことがあるであろうナポレオンの肖像画です

みんなこれがナポレオン・ボナパルトだと思いますよね?

 

でも実際はちょっと違うんです

この絵のナポレオンはイケメンすぎです

同じ題材で他の画家が描いたナポレオンがいますが

こっちがリアルです

 

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ポール・ドラローシュ「アルプスを越えるボナパルト

 

ダヴィッドのナポレオンと比べると

少し普通のオジサンっぽい(注:個人的意見です)

写真もテレビのない時代なので

民衆は最初のがナポレオンだと思わされたのですね

 

ナポレオンにとっての絵の目的は自分を残すのではなく

プロパガンダが目的だったようです



そのため、絵を描く際にも、モデルとしてまともに協力してくれなかったそうです

 

自分は勇猛果敢で民衆を先導している

というようなことを印象づけることが

目的なので似てても似てなくてもどっちでも

良かったみたいです

民衆の心を動かすのが目的なのです

その目的に沿って描いたのがダヴィッドなのです



ちなみに、実際にここに行ったのは事実ですが

その時馬には乗っていません

こんな険しいところ馬は危ない

実際はロバです(ドラローシュの絵もロバです)

 

左下にハンニバルカール大帝の名前が書かれていて

いずれもアルプス越えをしている名将

自分はその名将さえも超えているんだと表しています

 

いつの時代もみんな加工アプリでシミ取りして顔の矯正して色々マシマシにして

良く見られたいよね

などと個人的には思いますが(笑)

ナポレオンにとってはそれさえも超えたところに目的があるんでしょうね


しかし私が一番言いたいのは

ダヴィッドの画力とその表現力です

本当に脱帽です

ナポレオンに言われたからといって簡単に描けるものではないと思います
「マラーの死」もそうですが

自分が何を伝えたいのかが明確です

 

肖像画は写真と違い見たままを描かなくてもいいと私は思います

もちろん見たままを描いた肖像画のほうが圧倒的に多いですが

 



次回はこれよりさらにパワーアップしたダヴィッド作品を紹介します




本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!