前回からの続きです
今回はマティスの後期の活動について
マティスは晩年、体力の衰えと十二指腸癌の後遺症から身体が動かなくなり
1日のほとんどをベッドで過ごすことになります。
そのため油絵から離れ切り絵(カット・アウト)での制作を始めます。
そこでマティスは切り絵の素晴らしさを実感します。
切り絵は色紙を自由に切り、用紙に貼ることで作品を作ることができる
単純な色と線の組み合わせだけで表現できること。
そうすることで自分の感じたことをダイレクトに表現できるということを
発見したのではと思います。
《JAZZ》はその切り絵の作品集で20枚ほどあります。
私が一番大好きなのは
《JAZZ-イカロス》
左側にはマティスの直筆と思われる文章があります
「ホンのひと時の自由は、
勉強を終えたばかりの若者たちに
大旅行を最後まで続けさせられなかった。」
迷宮(あるいは塔)に幽閉されてしまう。
彼らは蝋で鳥の羽根を固めて翼をつくり、空を飛んで脱出した。
父ダイダロスはイカロスに「蝋が湿気でバラバラにならないように
海面に近付きすぎてはいけない。
それに加え、蝋が熱で溶けてしまうので太陽にも近付いてはいけない」と忠告した。
しかし、自由自在に空を飛べるイカロスは自らを過信し、
太陽にも到達できるという傲慢さから太陽神ヘリオス(アポロン)に向かって飛んで
いった。
その結果、太陽の熱で蝋を溶かされ墜落死した。
という話。
海の上をイカロスが落ちていく表現なのかもしれません
そう考えると、背景全面にあるブルーがとても悲しく
黒で表現されたイカロスの手足がバタついているようにも見えます
とてもシンプルにダイレクトに伝えています。
しかし、私がこの作品を好きな理由は全然違うところにあります。
イカロスを含めたこの20の作品集は《JAZZ》という名前で
それが素敵なのです!
個人的にJAZZが大好きというのもありますが
色と線がJAZZの音楽のようにとても躍動感があり
シンプルで境界線がはっきりとしている色の組み合わせを
観ているだけでオシャレで音楽が流れているように感じるのです。
マティス的にこの見方が嬉しいのかは分かりませんが(^^;
最後に私が行きたい場所リストの一つ
パリ「ロザリオ礼拝堂」
マティスが建物からステンドグラスまですべてを設計した礼拝堂
ブルーとイエローのステンドグラスがともて鮮やかで
気持ちがシュッとしそう!
このステンドグラスもマティスの切り絵の表現と全く同じ!
さらに白い壁に線だけで表現した世界が
ムリーリョやルーベンスなど過去の巨人の宗教画とは全く違う
不思議な幻想世界です!
私がマティスを好きな理由はやっぱりこの極限まで
シンプルでダイレクトに表現したこの世界観なんだろうなと感じます。
とても素敵です💕
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!