hiro_ame’s blog

美術マニアで科学と宗教を学ぶのが大好きな絵描き。

『Stray Sheep at Dusk』について

「美」の語源を調べたことがあります。

これは「羊」の下に「大」をつけた形で「大きな羊」「立派な羊」が語源になるようです。

どうやら「美」とは羊と関連がある??

日本では羊はあまり馴染みがないと思いますが

西洋において羊は重要な生き物です。

 

旧約聖書の中にも羊飼いという職業が出てきており、

羊は人間の文明が生まれたのと同時といっていいほどの昔から、人間とともに生活してきた動物なのです。

 

私が尊敬している千住博先生の「私が芸術について語るなら」からの引用

「羊の特徴について具体的にいうと、次のようになります。

①肉を食べることができる

②乳を飲むことができる

③寒いときには毛皮になる

また同時にとてもかわいい動物で、一緒にいると人々の心をやわらかくさせる存在でもありました。

食物にもなり、服にもなり、心も安らぐ。そう考えると羊は人々の「豊かさ」につながっていることがわかるでしょう。すると羊が大きいと書く「美」は、「豊かさ」と関係があることがわかります。

そして、「豊かさ」について別の言い方で表すと、「人が生きていく上での理想」ということになります。

どうやら「美」ということは、生きる理想にかかわる意味を持つ言葉なのかな、というのがわかってきます。」

 

千住先生の言葉からも「美」というのは人が生きていく上でもとても重要なことなのではと思ったのです。



一方で、新約聖書には「迷える羊」についての話があり、「迷える羊」とは迷って悩んでいる人のことを指します。

 

私はいつも悩んでいて迷っていてを繰り返しての連続の人だなと自分で思っています。

誰かに何かを言われて(それがポジティブなことでも)悩んで迷って落ち込んで

何か些細な出来事でも悩んで迷って落ち込んで。。。

ひどい時は夢にまでみて

 

半分冗談で「まるで私は迷える羊さんだな」などと自嘲してみたときに

そういえば「美」の語源は羊だったなと思い立ちました。



だったら羊さんをStray Sheep「迷える羊」を描こうと思い立ちました。

悩んで迷っているので時間帯は夕方

夕方とは「逢魔が時

朝(昼)でも夜でもない中間の時間帯に魔が入り込むという意味です

日本において中間は魔が入ると言われています。

玄関の敷居は踏んではならない。またぎます。

玄関は外と内の中間、境目。

敷居は中間なのです。踏むと魔が入り込むからまたぐのです。

 

話を戻して、だから私が描いたこの情景は朝日が登る夜明け(Daun)ではなく日が沈む逢魔が時(Dusk)です。

 

危ない時間帯に悩んで迷っているからこそ

ホタルの光が守って導いているのかなと描いてから思いました。

 

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました



『Stray Sheep at Dusk』2022年制作 A8アクリル

2022/5/10~15までバーチャル美術館にて展示中

https://japanese-artistic-museum.com

 

『Stray Sheep at Dusk』