hiro_ame’s blog

美術マニアで科学と宗教を学ぶのが大好きな絵描き。

鉱物について② ーラピスラズリvs合成顔料ー

ウルトラマリンブルー 和名:群青色、瑠璃色

この色の鉱物は宝石としても有名なラピスラズリです。

ラピスラズリラズライト(青金石)という鉱物を主成分とした複数の鉱物の混合物です。

和名は瑠璃

 

ラピスラズリも世界中で愛されている歴史ある石です

ツタンカーメン王のマスクやクレオパトララピスラズリの粉をアイシャドウに使っていたなど

顔料としての使用から薬や宗教儀式、魔除けまで非常に多用された石です。

今ではパワーストーンとしても多くの人が重用しています。




非常に美しいブルーで合成顔料が発明されるまでは「金よりも高価」と言われていました。

ラファエロやジョットなどとても多くの画家が重宝していました。

この色を使った有名な画家の一人といえば

ヨハネス・フェルメールです

真珠の耳飾りの少女』や『牛乳を注ぐ女』などに多くのウルトラマリンブルーが使われており、「フェルメール・ブルー」と呼ばれるくらい有名でした。

当時高額だったウルトラマリンをフェルメールは借金をしてまで使っていたみたいです!

その甲斐あってとても鮮やかな美しいブルーで

人物を神秘的に表現しています。

ウルトラマリンブルーは聖母マリアの衣の色にも多用されていることから神秘性を象徴する聖なる色なのです。

ヨハネス・フェルメール真珠の耳飾りの少女




おまけのはなし

 

フェルメール・ブルーが出てきたので日本には「北斎ブルー」「広重ブルー」といわれる葛飾北斎歌川広重が好んで使ったブルーがあります。

プルシャンブルー 和名 紺青

このブルーは鉱物をすりつぶして作った天然ではなく合成顔料です

ベルリンで赤色顔料合成の際に偶然発見されたブルー(フランスでも同時期にできたそうです)

ウルトラマリンよりも深い濃い青で

ウルトラマンよりも安価でウルトラマリンブルーにとって代わりました

日本には江戸時代に輸入され「ベロ藍」といわれました

当時の藍色はつゆ草などの植物系の顔料でベロ藍ほど鮮やかではなく、またすぐに色が褪せるというデメリットもあり

しかも顔料粒子が細かいのでブルーをぼかす表現ができたことから空の遠近感や川の流れななどが綺麗に表現され

海外からやってきた鮮やかなブルーを多用して制作したのが葛飾北斎の「富嶽三十六景」シリーズや歌川広重の「東海道五十三次」シリーズです

江戸の人はこの鮮やかなブルーに魅了されました

これが後にヨーロッパで起こるジャポニズムブームに発展していきます

歌川広重東海道五十三次 狂歌日本橋



ウルトラマリンブルーとプルシャンブルーどちらも私は大好きですが

濃い青が好きな私はプルシャンブルーを昔からよく使っています

しかし、このようにウルトラマリンブルーとプルシャンブルーの歴史をみていくとど

どちらもとっても興味深く

合成顔料で出せる鮮やかさや安定性

天然鉱物の僅かな混合物などからできる複雑な深みや神秘性

どちらにも良い持ち味があるのだなと感じて絵を観たり描いたりする楽しみがまた増えました



本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!