ジョン・エヴァレット・ミレイ作『オフィーリア』
From wikimedia commons
前回、本作がシェークスピアを題材にした作品で日本でとても人気であることについて書きました
この作品のずば抜けたすごさとは?
ジョン・エヴァレット・ミレイは「ラファエル前派」の画家です
ところでラファエル前派って何でしょう?
ネットで調べるとたくさん出てきますが内容が小難しくてよくわからない!
というのが私の最初の感想でした
そのためなるべく簡単にわかりやすく書いてみます
「ラファエル前派」はミレイと
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
ウィリアム・ホルマン・ハント
ウィリアム・マイケル・ロセッティ
ウールナー、スティーヴァンス、コリンソン
の7人で結成した美術サークルです
大学のサークルみたいな感じです
当時のイギリス美術アカデミーの教育はギリシャ・ローマ神話や聖書の題材をもとに人物や自然を理想化して美しく描く
女神を美女でナイスバディで男神はイケメンで
背景も理想化したユートピアのようなという風で描きなさいと教えられました
それを否定したしたのが美術評論家ジョン・ラスキンというとっても偉い人
From wikimedia commons ミレイが描いたジョン・ラスキン
「理想化したものじゃなくてもっとありのままの自然を描いていこうよ」
この考えに非常に共感したのがラファエル前派メンバー
当時のアカデミーの理想的お手本画家はルネサンス時代のラファエルでした
ラファエル以降の絵はどんどんダメになってきたんだ
だからラファエルより前の時代の芸術に戻ろうというのがラファエル前派の主張です
ルネサンス前はゴシック
ゴシックの特徴は美術と工芸・建築は一体であり
人の暮らしに役立つようなアート(今でいうオシャレ建築やオシャレ雑貨のようなアートとの一体化をめざすもの)
この当時「ゴシック・リヴァイヴァル」が起きていました
From wikimedia commons ゴシック建築の一つ ドイツ ケルン大聖堂 尖った形の建物が特徴
「昔の流行がまた繰り返し流行る」はどこでもありますね
ミレイやロセッティたちは美術アカデミーの敵対派閥として立ち上げた美術サークルなのです
ラスキンも非常に支援していました
ロセッティがこのサークルの理念を伝えるスポークスマンであるのに対して
ミレイは実力部隊のトップ
ひとりだけずば抜けて画力がありました(他の人がちょっとイマイチだった。。。)
超上手いです
最近、筆者が上野の国立西洋美術館がミレイの別の作品を購入して初お披露目の時に観に行きましたがほんと笑っちゃうくらい上手かったです
超リアルで本当にそこに人がいるかのよう
衣服や家具の質感などすべて描き分けられていてどうしたらこんなの描けるんだ!?と惚れ惚れしてみてました
長くなってしまったので本日はここまで
次回は本作がどれだけすごいのかを細かく見ていこうと思います!