hiro_ame’s blog

美術マニアで科学と宗教を学ぶのが大好きな絵描き。

印象派とは ④色彩理論 新印象主義

モネやルノワールが筆触分割という技法を使って絵を描いていたことを前回書きました。 hiro-ame.hatenablog.com これが更に時代が進むと、ジョルジュ・スーラやポール・シニャックという画家が出てきます。 この人たちは「点描画」をやり始めました。 スーラ…

印象派とは ③筆触分割 色彩理論

前回書いた、モネとルノワールが追及した「筆触分割」という技法についての続きです。 これは「色彩分割」や「視覚混合」などとも言われています。 これは、葉っぱを描くときに緑を塗るのではなく青と黄色を隣同士に塗って遠巻きに眺めることで眼が錯覚を起…

印象派とは ②筆触分割 モネとルノワール

最初から余談ですが、「印象派」の定義はなかなか難しいんじゃないかと個人的には思います。 定義1.印象派の展覧会を開催したメインメンバー 個人的にはこれが一番近い定義かなと思います。 印象派展は第1回~第8回まで開催しましたが、実は第一回の出品者だ…

印象派とは ①第一回印象派展

印象派とは1800年代後半に若い画家たちが立ち上げた美術サークルです。 主なメンバーはカミーユ・ピサロ、クロード・モネ、オーギュスト・ルノワール、エドガー・ドガ、ベルト・モリゾ、アルフレッド・シスレー、ポール・セザンヌ等 当時画家として成功する…

Report『パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ』

パリのポンピドゥーセンターは近現代芸術作品が揃うヨーロッパ最大の、大型の美術館です。 ここが近々改修工事ということで、重要作品がたくさん来た贅沢な展覧会でした! ロベール・ドローネー『パリ市』大きくて見応え抜群の名作 「キュビズム」と言ったら…

オモシロ絵画 inネーデルランド ヤン・ファン・エイク『ヘントの祭壇画』2

ヤン・ファン・エイク『ヘントの祭壇画』(『神秘の子羊の礼拝』) from wikimediacommons 前回はヤン・ファン・エイクがどれだけすごいのかをということと本作のそれぞれの中身について見ていきました。 本作の各パートのそれぞれのテーマが 閉じた状態:「…

オモシロ絵画 inネーデルランド ヤン・ファン・エイク『ヘントの祭壇画』

ヤン・ファン・エイク『ヘントの祭壇画』 from wikimediacommons ヤン・ファン・エイクは西洋美術史上非常に重要な初期ネーデルランド(初期フランドル)の画家です。 そしてかなり古い画家です。 1359年頃生まれと言われているのでレオナルド・ダ・ヴィンチ…

オモシロ絵画 in ネーデルランド ブリューゲル『ネーデルランドの諺』

ピーテル・ブリューゲル(父)『ネーデルランドの諺』 from wikimediacommons 筆者が初めてネーデルランド絵画に触れた思い出深い作品 一見?とある村のとある日常という感じですが。よくよく見るといろんなところがおかしい変な絵 この絵は一体何を描いている…

オモシロ絵画 in ネーデルランド ボス『快楽の園』2

ヒエロニムス・ボス『快楽の園』 この謎絵画 なにが描かれているかというと 閉じた時:旧約聖書の天地創造の図 開いた時: 左側:アダムとイブ 中央:題名にもなってる人間の快楽? 右側:地獄 前回は閉じた時と左側を書いたので今回は中央と右側について! …

オモシロ絵画 in ネーデルランド ボス『快楽の園』

ヒエロニムス・ボス『快楽の園』 from wikimediacommons 初期フランドル絵画の特徴のひとつは「超細密描写と膨大な情報量によるごちゃごちゃ感」 だから画像で見ると小さすぎて何が描かれてるのかよくわかりません。 そのため部分部分をいくつか取り上げてい…

オモシロ絵画 in ネーデルランド

ネーデルランドとはオランダのことです。 ”Nederland”というのがオランダの正式な国名です。 オランダという言葉はホラント州(Holland)からきた言葉で日本独自に使われている名前なので、実は他の国では通じません。 ネーデルランド絵画というとオランダと…

ウィリアム・モリスの偉大さ2

ウィリアム・モリス「イチゴ泥棒」 from wikimediacommons ウィリアム・モリスは「アーツ・アンド・クラフト運動」を扇動して、「モダンデザインの父」と言われました。 モリスは先輩ロセッティの勧めもあって最初は画家として油絵を描いていましたが、才能…

ウィリアム・モリスの偉大さ

「女王グィネヴィア」もしくは「麗しのイズー」 from wikimediacommons ウィリアム・モリスと親友のバーン=ジョーンズはラファエル前派第二期メンバーと言われた人です。 ラファエロ前派について詳しくは ジョン・エヴァレット・ミレイやダンテ・ゲイブリエ…

「プロセルピナ」作品から見るロセッティという人物 3

ロセッティの第三回目です。 ロセッティの代表作としてこの作品もよく見かけます。 「プロセルピナ」 from wikimediacommons 私はこの作品の真の意味を知ったとき、かなりドン引きしました。。。 ロセッティ from wikimediacommons と、その前に、話はロセッ…

「ベアタ・ベアトリクス」作品から見るロセッティという人物 2

前回は、ロセッティとラファエル前派について書きました 今回は、ロセッティの私生活と「ベアタ・ベアトリクス」についてです from wikimediacommons ロセッティはラファエル前派のミューズ(女神)といわれモデルをしてくれたエリザベス・シッダル(通称リ…

「ベアタ・ベアトリクス」作品から見るロセッティという人物

「ベアタ・ベアトリクス」ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ1864–1870 from wikimediacommons この絵のモデルはエリザベス・シッダルという人でロセッティの奥さんです。 この作品を解説するにはロセッティがどんな人物だったかを知る必要があります。 まず…

コティングリー妖精事件

妖精好きな人はイギリスで起こった「コティングリー妖精事件」をご存じの人も多いのではないでしょうか。 1917年イギリス コティングリー村に住む2人の従妹フランシス・グリフィス9歳とエルシー・ライト16歳が「妖精をみた。その妖精の写真を撮ってきた」と…

ヴィクトリアン・フェアリー・ペインティング No.2

前回、妖精をテーマにしたいくつかの絵画について紹介しました。 ヴィクトリア女王時代の妖精絵画のことを「ヴィクトリアン・フェアリー・ペインティング」と言います。この時代にブームになったテーマで多くの画家が妖精を描いています。しかもイギリスだけ…

ヴィクトリアン・フェアリー・ペインティング

「妖精絵画」というジャンルをご存じですか? 今ではゲームやファンタジー物語によく登場する妖精たちですが、実は妖精をテーマにした絵画というのが18〜19世紀に大ブームだったんです! しかも面白いことに流行ったのはイギリスだけ。 当時のイギリスの王様…

Report『古代メキシコ展 マヤ、アステカ、テオティワカン』

2023年6月から上野 東京国立博物館で開催している『古代メキシコ展 マヤ、アステカ、テオティワカン』へ行ってきました。 マヤ、アステカ、テオティワカン文明は現在のメキシコ、ガアテマラ、エル・サルバトル、ホンジュラスのあたりにあります。 占いなどが…

「オフィーリア」何がすごいの?

今度こそ本題の「オフィーリア」のすごさについて 前回、ギリシャ・ローマ神話や聖書の話を理想的に描く究極形態であるラファエルより前の時代に立ち返ろう 理想的普遍的な絵じゃなくて、もっとありのままの自然を描いていこうという理念がラファエル前派だ…

ラファエル前派ってなに?

ジョン・エヴァレット・ミレイ作『オフィーリア』 From wikimedia commons 前回、本作がシェークスピアを題材にした作品で日本でとても人気であることについて書きました この作品のずば抜けたすごさとは? ジョン・エヴァレット・ミレイは「ラファエル前派…

「オフィーリア」ってどんな作品?

綺麗で静かな川 豊かな緑 そのなかで花々とともに女性が川に浸かって流れています その視線はどこを見ているのか 空を見ているのか どこも見ていないのか... From Wikimedia Commons 日本人なら一度は見たことのある作品 ラファエル前派の画家 ジョン・エ…

鉱物について② ーラピスラズリvs合成顔料ー

ウルトラマリンブルー 和名:群青色、瑠璃色 この色の鉱物は宝石としても有名なラピスラズリです。 ラピスラズリはラズライト(青金石)という鉱物を主成分とした複数の鉱物の混合物です。 和名は瑠璃 ラピスラズリも世界中で愛されている歴史ある石です ツ…

『Stray Sheep at Dusk』について

「美」の語源を調べたことがあります。 これは「羊」の下に「大」をつけた形で「大きな羊」「立派な羊」が語源になるようです。 どうやら「美」とは羊と関連がある?? 日本では羊はあまり馴染みがないと思いますが 西洋において羊は重要な生き物です。 旧約…

鉱物について ー辰砂ー

鉱物について ー辰砂ー 今回は鉱物と絵画の関係性について。 絵を描くのに必要な絵の具の原料は何かというと 現在は、化学的に合成して色を製造していますが 以前は、様々な色の石をすりつぶして粉状にしてそれを油や膠を糊として使って絵を描いていました。…

神話の中の作品たち③

神話の中の作品たち第3回目です 2.ゼウスにまつわる女性たち ギリシャ神話の神々のトップは全知全能の神ゼウスです ゼウスの話はとても多いです ゼウスはヘラという奥さんがいながらとっても浮気性で多くの女性をゲットしています その方法は 白鳥になる!…

神話の中の作品たち②

「神話の中の作品たち」と題しまして 今回からギリシャ神話の中の作品たちを紹介していきます! 今回のシリーズの導入は前回記事をご覧ください 1.アプロディーテ/ヴィーナス 《ヴィーナスの誕生》サンドロ・ボッティチェッリ 有名な愛と美の女神ヴィーナ…

神話の中の作品たち①

絵画、特に西洋絵画となると「よくわからない」「高尚だ」 という方をよく聞きます。 なぜそんなに敷居が高そうに見えるのか。 その一因にその絵画の背景などがわからないからということもあるかと思います。 特に宗教画などは聖書などが分からない日本人に…

棟方志功の神懸り

棟方志功は「世界のムナカタ」と呼ばれていたほどの 世界的にも有名な版画家です 棟方は仏画を多く残しています 私の大好きな作品 「二菩薩釈迦十大弟子」 思わず手を合わせたくなるような 神聖さ力強さ静謐さを感じます これを観ることができた有り難さ 棟…