パリのポンピドゥーセンターは近現代芸術作品が揃うヨーロッパ最大の、大型の美術館です。
ここが近々改修工事ということで、重要作品がたくさん来た贅沢な展覧会でした!
「キュビズム」と言ったらピカソとブラックの2人で行った芸術運動。
”2次元の絵画を3次元のキューブとしていろんな角度からみた対象を描いた”と学んでいましたが、正直、何が描かれているのかよくわからない。これまで筆者は「キュビズム」にあまり興味がありませんでした。しかし今回のこの企画展で「キュビズム」の偉大さとその後の発展がよくわかりました!
①キュビズムの起源
なぜ、キュビズムが始まったのか、きっかけは「近代絵画の父」セザンヌ
この人のいろんな角度から見た(多視点)対象を1枚の絵の中に入れるという描き方。当時の若い画家たちみんなに大きな影響を与え、他にも、元祖ウマヘタのアンリ・ルソーや当時流行った民俗学ブームのアフリカ彫刻。
それらが合わさって始まったのがピカソとブラックのキュビズム。個人的にはアンリ・ルソーの作品も来ていてとっても嬉しかったです!下手すぎて見ていてやっぱり面白い!
②ピカソとブラックの実験
2人のキュビズムの実験、セザンヌっぽい感じ(セザンヌ的キュビズム)→もっと細かく細分化してみた(分析的キュビズム)→さらに総合して文字書いたりコラージュとかも取り入れてみた(総合的キュビズム)
この2人の実験の経過がわかります。
2人の実験は第一次世界大戦とともに終わってしまったけど、キュビズムの大きな流れはどんどん広がっていきます。それがホワン・グラス、アルベール・グレーズ、ジャン・メッツァンジェなどピュトー派といわれる人たちの作品。さらに、集合住宅兼アトリエ「ラ・リューシュ」に集まったシャガールやモディリアーニのキュビズム的作品、他にも、東欧(ロシア、ウクライナなど)のキュビストたち、そしてキュビズムの家!
今回の企画展はここが非常に手厚いのでキュビズムの大きな流れがどのように発展していったのかがわかります。
便器にサインして展示してアート界に激震をもたらした「現代アートの父」マルセル・デュシャン(アート界は父が多い)含むデュシャン三兄弟もこの流れにいます。
そして、キュビズム以降、現代建築の巨匠ル・コルビジェたちがキュビズムから更に発展させてもっとシンプルに余分な部分を削ぎ落した芸術運動を提唱。これが今私たちが見かけるシンプルなおしゃれアートやデザイナーズ建築となっていきます。
まとめ。
○キュビズムをやっていたのはピカソとブラックだけじゃなかった。
○むしろドローネーやグレーズなどピュトー派と言われる人たちがキュビズムを世界に広めた立役者だった。
○当時の画家たち誰もが一度はキュビズムにはまっていたくらいの大流行だった。シャガールやモディリアーニ、藤田嗣治なんかもやっていたというから驚きました。
○そして、キュビズムがただのイチ芸術運動というだけじゃない、まさに「美の革命」といえる、以後の現代芸術の方向性を指し示す大変大きな流れだったということ。
日本では50年ぶりの大キュビズム展!
キュビズム以前・以後も含めて、歴史を彩った重要作品もたくさん来ており、非常に贅沢な展覧会でした!