ピーテル・ブリューゲル(父)『ネーデルランドの諺』
筆者が初めてネーデルランド絵画に触れた思い出深い作品
一見?とある村のとある日常という感じですが。よくよく見るといろんなところがおかしい変な絵
この絵は一体何を描いているのかというと、題名のそのまま。
ネーデルランドのことわざを1枚の絵に表した作品なんです!
こんなことをしている作品を筆者は初めてみました。
しかもここに描かれていることわざは、なんとわかっているだけで126個!
数えるだけで大変!
オランダのことわざなので日本人にはよくわからないものもありますが
いくつかピックアップして見ていきます。
まずは日本と共通するものから
「野生の熊は同類と共にいるのを好む」
類は友を呼ぶ 小熊かな?
「豚の前にバラ(真珠)を投げてはならない」
豚に真珠
「自分の粥をぶちまけた者は全てを元には集められない」
覆水盆に返らず
「非常時は老女さえ走らせる」
思いがけない状況では、驚くべき力が発揮されることがある 火事場の馬鹿力
おばあちゃん激走
それ以外にも
「彼女は夫に青い外套を着せる」
彼女は夫に不貞を働いている
「彼は親指の上で世界を回している」
人を意のままに操る
「さらし台の上で演奏する」
間違っているのに気付かず、まだ人の注意を引こうとする ノリノリ♪
「悪魔の元へ懺悔に行く」
敵に秘密を漏らす 悪魔に魂を売るかな? これ悪魔なんだろうか?
「ガチョウがなぜ裸足で歩くのかを誰が知っていようか?」
一見してすぐに明らかでないとしても、物事には必ずその理由がある
「屋根がパンケーキで覆われている」
豊かな生活を送る 雨漏りしそうですが...
などなど
自宅やお店に飾って家族やお客さんとちょっとお話するのにちょうど面白い絵なんじゃないでしょうか?
この絵、人気があったみたいで何枚もセルフコピーされてます。
人気だったのもわかる気がします。
ブリューゲルの代表作はいっぱいあります
『バベルの塔』をはじめ『反逆天使の墜落』『雪中の狩人』などなど
この人はヒエロニムス・ボスに非常に影響を受けており「第2のボス」として売り出した人なので、ボス同様なんの生物かもわからない謎生物とごちゃごちゃ世界の作品がメインです。
ボスの後追いと言われているにも係らず、しっかりと歴史に名を残しているのはボスを踏襲しながらもブリューゲルの確かな画力と絵の存在感が素晴らしいからだと思います。
筆者はブリューゲル大好きで、この人も激押し画家です。
どの絵もかなりのごちゃごちゃです!端から端まで全く手を抜かずとことんまで描きつくしています!見ごたえ抜群!
今回取り上げなかったですが『バベルの塔』はその集大成。
聖書の一説を絵にした『バベルの塔』は一見すると存在感抜群の塔ですが、描かれているのは塔だけじゃない!米粒よりも小さい人間がこの絵には大量に描かれています!これは実物を虫眼鏡で見ないとわからないレベル!
どの絵もカオスなのに、しっかり構成されて、そしてどの部分も見ごたえがある。
ブリューゲルは本当にすごいくて面白いです。