hiro_ame’s blog

美術マニアで科学と宗教を学ぶのが大好きな絵描き。

技術と熱意が光る浮世絵!

そもそも「浮世絵」とはなんでしょう?

よく葛飾北斎歌川広重などの絵を「浮世絵」や「錦絵」と言ったりします

 

浮世絵とは江戸の暮らしや風景、流行などを描いたの絵という意味なのです

北斎の『富嶽三十六景』や広重の『東海道五十三次』などなど

実は、上のこれらは大量に同じものを制作することができる木版画です

この木版画のことを「錦絵」といっています

錦絵とは浮世絵というジャンルの中で多色刷りの印刷物のことをいいます


その他に

版画と区別すため筆で描いた絵のことは肉筆画といいます

もちろんこれは一点物のため北斎など当時の江戸の絵師(絵描きのこと)の肉筆画は

現在では大変高価で貴重なものばかりです


錦絵で有名な『富嶽三十六景』や『東海道五十三次』は

江戸庶民に大流行しました


理由はいくつかありますがその一つとして


当時の江戸の人達にとって旅行とは現代のように

簡単にできるものではなかったのです

だから、江戸から離れた美しい景色の絵を見て風景を楽しんでいたのです

今でいう絵ハガキみたいな位置づけですかね


他にも、美人画や歌舞伎役者の絵は

今でいうファッション雑誌やアイドルのブロマイド


実際に江戸の女性はお気に入りの役者に恋をして絵を買い

美人画に描かれた着物や小物を見て

流行をキャッチしていたそうです

江戸の暮らしは今とぜんぜん変わらない!

 

葛飾北斎の作品」というと作画から印刷まですべて北斎が行ったように

勘違いするかもしれませんが


実はこの「錦絵」というのはすべて分業制なのです


3人の職人さんの技術により「錦絵」というものが完成します


1人目:絵師(えし):葛飾北斎歌川広重などの絵師が元となる絵を筆を使って制作します

2人目:彫師(ほりし):絵師の画をもとに木を彫り木版を制作します

3人目:摺師(すりし):彫師の制作した木版をもとに色をのせて紙に転写して完成!


渋谷区にある太田記念美術館にはこの一連の作業を実際の道具と写真とともに

展示されています

筆者はこれを見るのが大好きなのです!


ここでいつも脱帽するのは彫師さんと摺師さんの技術です


まず、一枚の画をもとに彫師さんが木を彫るのですが

1枚の木版で制作するのではなく

色毎や摺る際の工程別に木版を彫り分けるのです!

それなので色が多く緻密な作品はそれだけ木版の枚数が増えます

だから木版1枚1枚1ミリもずれることなく彫らなけでばならないのです!


そして、この複数の木版に色をのせて紙に転写する作業をする摺師さんも

素晴らしいです!

ただ顔料を木にベタ塗りするのではなく

色のグラデーションを付けるために顔料と水の調整をしながらのせたり

色の深みをだすために同じ場所にわずかに違う色を重ね塗りしたり

それを複数の木版で何回も何回も1枚の紙に転写していくのです

もちろん1ミリでもずれたら失敗!


ちゃんと合わさるように木版に印がついているのですが

簡単にできることじゃないです!まさに職人技!

ベテランになるために長い修行期間が必要のようです


(ちなみに木版の印のことを「見当」といい

「見当をつける」の言葉の語源だとか)

 

春画」も芸術的に優れていると言われる理由の一つがここにあります

春画とは江戸時代の「エロ本」男女の営みが結構がっつり描かれてます(笑)

春画というと嫌がる人もいますが

春画の特徴は多色刷り印刷であること

風景や人物ではあまりみられないくらい使用している色の数が多いのです!

つまりそれだけ木版の枚数も増え、摺る回数も増えるのです!

有名絵師も多く描いており、技術を磨く場所でもあったようです

今でも春画のコレクターが多いのはこういう意味もあるんでしょうね

それとも昔の人もエロに対する熱意がすごかったのか(笑)

 

以上から筆者は絵師さんと共にこの彫師さんと摺師さんは本当にすごい職人さんだな!

と思うのです!

だから、個人的には「葛飾北斎の錦絵」に彫師さんと摺師さんの名前もつけてほしい!

と思ったりします


彫師さんと摺師さんの仕事を映像で見たことがありますが

とっても素晴らしくて

1枚1枚色をのせて画ができていく過程はとってもワクワクします!


機会があったら是非見てみてほしいです!

 

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!